養育費は離婚時にどう決める?金額の相場はいくら?もらう方法は?
子供がいる状態で離婚をする場合、しっかりと決めておかなければいけないのが養育費です。
理由があれば金額の変更も可能ですが、基本的には一度決めた養育費は変更することができません。
そのため、後で問題が起きないようにしっかりと決めておくことが大切です。
実際に養育費を決めるために必要な手順や注意点、回収方法などを説明します。
目次
そもそも養育費って何?どんなことに使われる?
子供を育てていくためには、様々な費用がかかります。
養育費は、そんな子育てにかかる費用を賄うために支払われるものです。
生活面
生活をしていくためには、食事や生活用品にかかる費用が欠かせません。
さらに、子供というのは成長をしていくため、成長期が終わるまでの間は体の大きさに合わせて衣類や靴などを買い替えていく必要があります。
そして、お小遣いや子供が遊ぶための費用も必要です。
教育面
こうした生活にかかる費用以外に、大きな負担となるのが教育費です。
学校に通うようになれば、学費だけでなく制服代や上履き代、教科書代など様々な費用が発生します。
そして、進学を目指すのであれば塾代などがかかることも少なくありません。
塾以外にも、子供の才能を伸ばしたいと考えた場合は習い事代が必要になるなど、子育てには何かとお金がかかります。
かかる費用は、子供の成長や進学の状況によって大きく異なります。
ただ、養育費というのは必要な金額をその都度精算していくのではなく、毎月一定の金額を支払うという形が一般的です。
そのため、これから先子供が成長していくために必要な費用についてしっかりと考え、金額を決めていくことが大切です。
養育費を決めるタイミングはいつ?4つのパターン
養育費を決定するタイミングは、夫婦によって異なります。
ここでは4つのパターンについて紹介します。
1.夫婦の話し合いで決める
養育費は、夫婦間の話し合いのみで決めることができます。
離婚の話が出た時点で、親権をどちらが取るかを決め、子供の将来について話し合った上で養育費を決定するというのが最適な形です。
この時点であれば、金額も自由に決めることができます。
そのため、支払う側の収入などを考え相場よりも高い養育費を請求するということも可能です。
この話し合いで養育費の金額が決まった場合、しておきたいのが離婚公正証書の作成です。
口約束だけでは養育費の不払いが起きる可能性があるため、決定した内容は証書にまとめておくことが大切です。
2.離婚調停で決める
夫婦間の話し合いで決まらない場合は、離婚調停に進みます。
離婚調停では、調停委員が立ち会う形で話し合いを進めていきます。
基本的には夫婦の話し合いが中心ですが、調停委員から提案される調整案などを元に妥協点を見つけていくという形が一般的です。
そのため、離婚調停に進むと条件に関して、妥協をしなければいけない可能性があることを覚えておくことが大切です。
第三者の立会いによって意見がまとまりやすい状態を作る離婚調停ですが、話し合いで決着がつかないことも多々あります。
その場合、離婚裁判へと進むことになります。
離婚調停で上手く話し合いがまとまれば、決まったことをまとめた調停調書を作成します。
3.離婚裁判で決定される
離婚調停までは夫婦間の話し合いで結論を出すのに対し、離婚裁判で結論を出すのは裁判官です。
離婚をするかどうかは勿論、親権の行方や妥当と考えられる養育費まで全て判決という形で伝えられます。
夫婦間の話し合いであれば、希望に近い金額を要求することも可能です。
しかし裁判という形になれば、法的に考えた場合に妥当となる判決が下されるため、希望通りにならない可能性も高くなります。
それだけに、養育費に関して妥協をしたくないのであれば、裁判になる前に決着をつけておくことがおすすめです。
ただ、裁判での判決には強制力があるため、不払いの可能性を減らすことができるというメリットがあります。
4.離婚後に請求する
養育費は、離婚が成立した月から請求可能です。
ただ、妊娠中の子供に関しては生まれてから支払うという形が一般的となっています。
とは言え、子供を育てる以前に出産にもお金がかかります。
それだけに、出産からしっかりとサポートしてもらいたいのであれば、そのことについても話し合いをしておくことが大切です。
なお、調停や裁判で離婚をした場合は、養育費は生まれてからの支払いとなります。
離婚や養育費は話し合いで決めることが理想ですが、難しい場合は調停や裁判に進みます。
どの段階でも、養育費は親権と一緒に考えられることが一般的です。
養育費に関して決めておきたい項目とは?
養育費の話し合いでは、金額以外にも支払い時期などの話し合いをしておくことが大切です。
金額
養育費の金額は、夫婦で話し合い月にいくらという形で決めることが一般的です。
少しでも多く受け取りたいと考えてしまいがちですが、高額な負担を求めると不払いが起きる可能性があります。
そのため、支払う側の負担も考えて妥当な金額を決めることがおすすめです。
金額の決め方については後述します。
支払い開始時期
離婚が成立すれば、養育費の支払い義務が生まれます。
この時、成立した月から支払うか、翌月から支払うかなど細かいことを決めておかなければ、揉める原因となってしまいます。
そのため、いつから支払いを始めるかをしっかりと話し合いで決めておく必要があります。
支払い期間
養育費は、20歳になるまで支払うことが一般的です。
しかし、20歳で必ず子育てが終わる訳ではありません。
大学進学をした場合は、20歳を超えても子育てが続きます。
そのため、子供の進学を考えているのであれば卒業するまでとしておくことがおすすめです。
反対に、20歳を待たずに子供が働き始めることもあります。
早い段階で子供が自立をした場合はどう対応するかも、事前にしっかりと話し合いをしておくことが大切です。
細かいことまで決めておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
支払い方法
支払い方法には、決まりはありません。
多いのは、子供名義の口座に振込をしてもらうかたちですが、親名義の口座でも構いません。
振込手数料がかからない口座を選んでおけば、相手も気持ちよく振込をすることができます。
また、養育費は長い年月をかけて支払われることになります。
口座の管理には充分気を付け、万が一口座の変更があった場合のことも考えて、よく話し合っておくことが大切です。
それ以外に、面会日などのタイミングで手渡しをするという方法を選ぶ人もいます。
この場合は、領収書の発行など記録が残る状態を作っておくことがおすすめです。
養育費に関して細かいところまで決めたら、決定事項を書面に残しておくことが大切です。
夫婦間の話し合いであっても、口約束で終わらせてしまうと後でトラブルが起きる可能性があります。
それだけに、少し手間がかかることになっても書面にまとめ、公正証書作成まで行っておきましょう。
養育費の相場や金額の決め方は?
養育費の金額の決め方は家庭によって異なりますが、基本的には次のようなことを元に決めていきます。
- 子供の年齢
- 子供の人数
- それぞれの収入
相場は子供が1人であれば3万円〜5万円程度となりますが、支払う側の収入によってはこれより低い金額になる可能性も考えられます。
反対に余裕がある場合や、進学などでお金がかかる年齢の子供がいる場合は高く設定されることもあります。
夫婦でしっかり話し合い、妥当な金額を決めていくことが大切です。
金額の変更は可能?
一度決まった金額は変更できないことが一般的ですが、事情によっては増額や減額が可能です。
例えば、支払う側の収入が大幅に増えた場合や受け取る側の生活が困窮した場合は、養育費に関する増額請求を行うことができます。
反対に失業などによって支払う側の経済状況が困窮した場合、受け取る側に余裕ができた場合は減額請求も可能です。
増額や減額は夫婦間の話し合いで決定することになりますが、決まらない場合は調停や裁判に進むこともできます。
養育費が支払われなくなった時はどう対応する?
突然養育費が支払われなくなるというのは珍しいことではありません。
こういう状況になっても、慌てずに対応するために欠かせないのが法的効力を持つ公正証書です。
公正証書があれば、強制執行も可能となります。
1.まずは相手に連絡を
養育費の支払いが止まった時、まずしなければいけないことが相手への連絡です。
手段は、メールでも電話でも、直接会っても構いません。
まずは一度連絡を取り、今後のことについて話し合うことが大切です。
この時点でお互いが納得することができる結論が出れば問題ありませんが、連絡を取れない場合や結論が出ない場合は、次の段階へと進みます。
2.内容証明を送る
内容証明だけでは、差し押さえなどをすることはできません。
ただ、法的な書面を送付することによって、この先の段階に進む可能性があることを伝えることができます。
そのため、内容証明が届くことによって、支払いに応じてもらえることがあります。
さらに、内容証明は養育費不払いに対する行動を起こした証拠にもなります。
3.家庭裁判所に申立を行う
調停もしくは裁判で離婚をした人が内容証明に応じて貰えない場合、子供の住所地の家庭裁判所に履行勧告の申立を行います。
履行勧告とは、養育費の支払いを拒否する人に対し、家庭裁判所が決定事項を守るように勧告してくれる制度です。
調停調書や勝訴判決がある場合は、この制度を利用しておいて損がありません。
4.応じなければ強制執行
相手が応じない場合は、給与差し押さえなどの強制執行を行います。
履行勧告は調停調書や勝訴判決が必要ですが、強制執行の場合は強制執行認諾文言が入っている離婚公正証書でも行うことができます。
公正証書を作成する時には、この文言を忘れずに入れておくことがおすすめです。
給料差し押さえや養育費の回収のために、特定しておきたいのが相手の口座です。
不払いの不安がある場合は、いつでも相手の口座を特定できるようにしておくと良いでしょう。
まとめ:養育費は話し合いの段階から慎重に
しっかりと養育費を決めたつもりでも、離婚後支払いが始まってからトラブルが起きることは珍しくありません。
そのため、話し合いの時には金額だけでなく、支払いを始めるタイミングや完了までの期間など細かいことまでしっかりと決め、詳細をまとめた公的証書を作っておくことが大切です。
この一手間が、トラブルを未然に防ぐことにつながります。
さらに、公的証書や調停調書などがあれば、不払いが起きた場合でも慌てずに対応できるというメリットがあります。